<今日の一枚と一句>「その53(2026.03.11~03.24)」



【 春酔や 老木苔の 獅子めける 】(しゅんすいや ろうぼくこけの ししめける)
金沢城の内堀にある桜並木の老木に「獅子」の顔に似た箇所を見付けました。近くに咲く梅の花も満開で気温も上がると、春独特の眠気にも誘われます。
残念ながら「梅の老木」ではなく「桜の木」・・・でしたが、「梅の咲く方向」にむかってまどろむ「獅子=ライオン」の顔に見えてきます。
また、不思議なことに(写真の)右側に目をやると「眠たげ」で、左下側に目線をやると「咆哮」の獅子に見えてきます。
桜が開花すると木の幹辺りに目をやることもなくなりますので、この時期にしか気付かなかった一瞬・・・「パチリ!!」ました。
※1「春酔」: 春の眠り、夜が明けてもなかなか目が覚めない様子
※2「獅子めける」: 「獅子の様に見える」の意(「めっける」は「見付ける」が転じたもの)
《2026.03.11撮影・投稿》

【 文豪も 待ちくたびれて 柳の芽 】(ぶんごうも まちくたびれて やなぎのめ)
金沢文芸館はこのHPで何度も採りあげていて、特に説明はいらないとは思いますが、大雪となった冬の間は入館者が少なくなっていました。
観光客目線ではとてもレトロな建築館に魅せられて?入館される人数も増えてきました。
この館の直ぐ傍に「枯木橋」という古い橋の名前と由来が書かれた立看板と小さな公園があって、この文芸館に追い被さるように立ち枝垂れている柳の木が見事です。
春になって、「柳の芽」が目立ち始めました。「芽柳」は糸の様に細く、風邪に靡く風情はまた格別です。
文豪たちも「春を待つ」と言うもう一つの意味で、ここ金沢の地から「明治の三文豪」続く「作家(文豪)」が出るのを心待ちにしている‥‥と言ったところでの「一句}」としました。
※1「柳の芽」: 文中説明の通り(春の季語)「芽柳」とも表する
※2「「文豪」: 「泉鏡花」「徳田秋声」「室生犀星」(金沢三文豪)の意
《2026.03.12撮影・投稿》
《お願い》
【これから先の投稿画像を表示するには、ここを「CLICK」と言う場所を「CLICK」又は「タップ」してください】


【 梅の香や 鏡花の賞の いぶし銀 】(うめのかや きょうかのしょうの いぶしぎん)
先日訪れた「金沢文芸館」の3Fには「三文豪の等身大?看板絵」が出迎えてくれました。それぞれの特徴のある出で立ちで、ここをバックに写真を撮る入館者も多いとか。
昭和48年(1973)に創設され令和7年度(2025)で五十三回を数える「泉鏡花文学賞」受賞者に「正賞」として授与される「八稜鏡」が展示されていました。
説明板によると「唐鏡の一種で、古墳からしばしば出土し、周囲に八つの山があることから「八稜鏡」と呼ばれる。正賞の「八稜鏡」には鏡花が好んだウサギが彫り込まれている。とされています。
よく見ると「ウサギ」の他に「梅」「椿」「桜」「鳥」「唐草紋」「瑞花紋・宝相華(ほうそうげ)」「渦紋」「八稜」「組紐」など、説明書きには記載されていませんが、随分と多くの「鏡花らしさ」が詰め込まれた感がしました。
「いぶし銀」の中にある梅の花が微かに香り・・・春を感じました。
※1「いぶし銀」: 泉鏡花文学賞の正賞の様
※2「唐鏡」:中国の隋唐時代に作られた鏡の総称で 「トウキョウ」と読む
《2026.03.12撮影・03.13投稿》

【 引く鴨か 残る鴨かや 城の堀 】(ひくかもや のこるかもかや しろのほり)
金沢城三の丸と五十間長屋の間にある内堀に、ツガイ数組の鴨がスイスイ泳いだかと思えば急に潜って姿が見えなくなる・・・・その様子を見ていると、とても楽しげな様子でした。
この時期は、北に帰る鴨(引く鴨、帰る鴨)の季節です。遠くに旅立つ前の諸準備か、はたまた英気を養う体休めなのか、(ひょっとして)今年は帰らないのか・・・などと考えながら暫し眺めることに。
一羽が潜るとその周りをもう一羽がスイスイ・・・。潜った鴨が水面に顔を出すと、並んで泳ぎ決して他のツガイの進路を妨げることなく一定の距離を保ちながら・・・・。
鴨たちの頭上には「固蕾み」が見え始めた桜が、枝垂れかかっています。こんなそんなの風景が見られるこの季節が大好きです。
※1「引く鴨」: 越冬後北に向けて飛び立つ鴨「鴨帰る」(春の季語
※2「固蕾み」: 蕾がまだ固いことの意
《2026.03.14撮影・投稿》
《お願い》
【画像を表示するにはここを「CLICK」してください】

【 春の園 琴の音耳に 残りけり 】(はるのその ことのねみみに のこりけり)
「国の特別名勝 兼六園」には多くの入園者でとても賑わっていました。特に「桂坂口」には入園券の発券機があり購入するための長い行列ができていました。
また兼六園のシンボル的存在「琴柱灯籠=ことじとうろう」を背景として写真撮影をするための順番待ちの列が・・・・。
「琴柱灯籠」は「琴の糸」を支える「琴柱=ことじ」に似ていることから名付けられたとか。
「灯籠」の前に架かる「虹橋=にじばし」は、そのゆるやかな曲線は「琴の胴」を連想させることから「琴橋」とも言われています。
桜が開花すると、昼のみならず「夜桜」に出かける人も多くなることから、毎年四月中旬頃までがその年一番の人出になるかと・・・
※1「春の園」: 「春苑」「春の庭」などと同じ
※2「桂坂口」: 兼六園にある7か所の出入り口の一つ(金沢城から最寄り)
《2026.03.15撮影・投稿》
《お願い》
【画像を表示するにはここを「CLICK」してください】

【 虎石や 春の光に あくびかな 】(とらいしや はるのひかりに あくびかな)
兼六園には「三名石」(三要石)」と言われる石がありますが、「魔の方向」を睨んで兼六園を守る石と今に伝わります。
「獅子巌(ししいわ)」「龍石(りゅうせき)」と、この「虎石(とらいし)」の名が付いていて、夫々の姿がその生き物に似ていると・・・。
しかし、当時の日本国内には、架空の動物「龍」は別として、「虎やライオン」が生息していない時代の命名であり、これも想像上の生き物(動物)であったはず・・・。
特に「虎石」は見る角度によって全く別の生き物(トド、アシカ等」にも見えます。どこにに視点を置くかにもよりますが、自分としては「虎のあくび」と映りましたが、さてさて・・・。
《2026.03.15撮影・03.16投稿》

【 兼六の 眺望台に 立てばまた 戸室医王に 空と蒼増す 】(けんろくの ちょうぼうだいに たてばまた とむろいおうに そらとあおます)
兼六園は「六勝を兼ね備えたお庭」・・・「宏大」「人力」「水泉」「幽邃」「蒼古」と「眺望」と六つが全て備わっている庭として命名されている庭園です。
毎年春先に眺める山々の蒼と空の青・・今年はまた格別の趣を感じます。特に降雪量が多かった山の雪も徐々に解けだして、やがては「山笑う」の季節に・・・。
「戸室山=とむろやま」の奥に「医王山=いおうぜん」が眺められ、その稜線まで一望できる場所に「眺望台」の説明看板が立てられています。
兼六園の桜が終わる頃には山々には薄いピンクの山桜を観ることが出来るでしょう。
今日は「短歌風」にて失礼しました。
※1「戸室山、医王山」: 戸室山の標高548m、医王山の標高939m、戸室山には「戸室石」が採石されて金沢城の石垣にも使用されている
※2「兼六園の広さ」: 11.4ha(34,000坪)東京ドームの約2.5倍
《2026.03.17撮影・投稿》

【 春水や 段をゆるりと 光踏み 】(しゅんすいや だんをゆるりと ひかりふみ)
兼六園の南東方向に築山「山崎山」があり、中腹に「五重の塔」があります。この塔は、京都の「仁和寺(にんなじ)の塔}を模して造られたと言われています。
山裾には松尾芭蕉公が金沢で詠んだ「あかあかと 日はつれなくも 秋の風」という句碑があります。
その山崎山の下辺りにある小さな川の流れ、いくつかの段を下った後、またゆるゆるとした流れに戻っていきます。
春の陽射しを受けながら、特に慌てず騒がず・・・耳を澄ませば、一定のリズムで小さな音を刻みながら流れていました・・・・。
※1「春水」: 「しゅんすい」「水の春」又は「春の水」の様
※2「山崎山」: 特に紅葉が見事な景観となることからか「紅葉山」とも
《2026.03.17撮影・03.18投稿》

【 城門や 戸室の石の 花衣 】(じょうもんに とむろのいしの はなころも)
金沢城の「三御門(石川門、河北門、橋爪門)」には、金沢の「戸室山」から切り出した「戸室石(安山岩)」が多く使われています。(写真: 橋爪門)
溶岩が固まるまでの気象条件によって赤、青、薄桃色などの石の色となり、その組み合わせを「切り石積み」の技法に組み入れると、現代風なモザイクのデザインとも評されそうです。
花の便りがニュースになる今日この頃ですが、厚手の外套を脱ぎ、春らしい色合いの「春物」に似合いそうな・・・城(門)石垣の色に見えてきました。
重厚な筋金入りの御門ですが、ふと石垣に目を移すと別の趣が感じられます。
※1「城門」: 城の門、ここでは金沢城の「三御門」の意
※2「戸室石」:本文の他先に投稿の文参照
※3「花衣」: 観桜時に着る衣服、「花の袖」「桜霞」とも
《2026.03.18撮影・03.19投稿》



【 檜笠 加賀の毛針に 春の夢 】(ひのきがさ かがのけばりに はるのゆめ)
石川県立能楽堂別館に「釣りびと日和」と書かれた看板があったので、入館(無料)しました。
工芸大国とも称される「石川の工芸」に関する作品は多くありますが、この館には今回「釣り」に関するものが多くみられました。
中でも「加賀毛針」の原材料に野鳥(おしどり、かわせみなど)の羽毛が使われていることを知り、これ自体どれをとっても芸術作品そのものです。(もちろん実際に川釣りにも使えますが、ちょいもったいない気がします。)
この日はとても入館者が多く、担当の係員に大した質問する場面や、入り口に展示された金箔の作品が(特に外国人)写真撮影でとても賑わっていました。
「釣り天狗」達にとっては、もう既に気分は「春の川釣り」となっていたのでしょうか・・・。
※1「檜笠」: 日除けはもちろん雨にも対応できる機能性と、手編みの美しさで人気がある
※2「春の夢」: 春の眠りにみる夢(春の季語)
《2026.03.20撮影・登録》
《お願い》
【画像を表示するにはここを「CLICK」してください】

【 一枝に 紅白梅の めでさや 】(ひとえだに こうはくばいの めでたさや)
金沢市長町にある「長町観光駐車場」内の小公園に、一本の梅の木に花が咲いています。 よく見ると、一本の枝に「紅梅・白梅」の花が付いていて、とても綺麗です。
全体としては白梅の方が多くを占めますが、所々の枝に「紅白」の花が咲いていて、真っ先に「めでたい!!」というイメージが・・・・。
三連休の中日、よく晴れて気温も高くなった金沢市内k観光スポットでは<多くの人で賑わっていました。
大型クルーズ船が二隻同時に入港したこともあってか、外国人団体旅行者の数が記録的?に増えたと感じましたが・・・・。
兼六園、金沢城、片町・香林坊界隈を「ぶらり散歩」してきましたが、人も車もあちこちで大渋滞、横断歩道の信号で渡り切れないほどの団体客が見られます。
※1「梅」: 中国が原産で朝鮮半島経由で奈良時代には既に栽培されていたとか
※2「紅白の梅」: 梅は少しの遺伝子変異で花色が変わるようで、枝のどこかの箇所に起こる「突然変異」が原因となる様です
《2026.03.21撮影・投稿》
《お願い》
【画像を表示するにはここを「CLICK」してください】

【 この先は どんな花やら 木の芽時 】(このさきは どんなはなやら このめどき)
長町武家屋敷の内庭に植林の木々がたくさん芽吹きました。木の名前も知らず、ましてやどんな花が咲き、結果どんな実を付けるのか、この先が楽しみです。
毎年見慣れていて、花芽や成る果実を知っている家人にとっては、今まで繰り返された一年間のサイクル?なので特に気にはならないでしょうが・・・。
最新のアプリ「Googleレンズ」で検索しても、出てくる答えがまるで異なる(写し方や、光、角度が影響するのか)結果となる新芽も多くあります。
さてさて、この先はどんな花が・・・・。とても楽しみです。
※1「木の芽時」: 木が芽吹く時、厳しい冬に耐えて春に新芽が出る頃(春の季語)
※2「Googleレンズ」: 知りたいものに向けてスマホで撮影すると答えを導き出すアプリ
《2026.03.22撮影・投稿》

【 苔むせる 芭蕉の句碑や 春の園 】(こけむせる ばしょうのくひや はるのその)
三連休中に兼六園に入園、ゆっくり時間をかけて散策してみました。 今まで四季ごとに幾度となく訪れていますが、そのたびに新たな発見があります。
今回は、園内に咲く「椿」をテーマとしての「ゆっくり散歩」でしたが、その他の木々の芽吹きも盛んで、被写体を絞るのにも目移りがします。
芭蕉の句碑は金沢市内だけでも相当数設置されていますが、園内の句碑には「あかあかと 日は難面(つれなく)も 秋の風」と刻まれています。
芭蕉が奥の細道の途中金沢を訪ねた時、句会で披露された句で、「旅の辛さが癒されていないのにもかかわらず残暑もまだ続いている・・・秋の風の音は悲しく聞こえる・・」といった意味の句なのでしょうか?・・・。
この句碑の「説明板」によると、「元禄2年(1689)に芭蕉が金沢で作った句である。書は江戸後期金沢の俳人梅室の筆による」と記されていました。
※1「難面(つれなく)」: 「素知らぬ顔をしている」様
※2「梅室」: (桜井梅室) さくらいばいしつのこと
《2026.03.21撮影・03.23投稿》
《お願い》
【画像を表示するにはここを「CLICK」してください】

【 人もなく 氷室の跡の 日永かな 】(ひともなく ひむろのあとの ひながかな)
兼六園には四季を問わずとても多くの観光客が入園します。園内を見て回るコースはいくつもありますが、南東方向にはせいぜい「山崎山」辺りまで・・・。
その裏手には「氷室跡」と書かれた立て札がぽつりと建っていますが、特に説明書きも見当たらず、人の気配は感じられません。
春分を過ぎて、日ごとに日の長きを感じることが出来る季節、垣根の傍には多くの椿の種類が咲くところではありますが・・・・。
「富樫白」「「中部初雁」「秋の山」「紅奴」「空蝉」「吹上紋」「荒子獅子」などと命名された花が見られますが、今冬は雪の影響か?すべての椿を発見することは出来ませんでした。
※1「氷室」; 天然の雪や氷を蓄え冷温貯蔵庫として機能する施設
※2「日永」: 春分を過ぎたころから少しずつ日が長くなる様
《2026.03.24撮影・投稿》

2026年3月25日(水)から「その54」に移ります
