〈今日の一枚と一句〉「その20(2024.11.22~12.09)」
【 山の秋 里の楓が 手本かな 】(やまのあき さとのかえでが てほんかな)
今年の紅葉は、例年より一週間ほど遅れているようだと書かれた関連記事を目にします。
ここに来て寒さが一段と増したこともあってか、近隣の山々にも秋の彩を観ることが出来ます。
毎年金沢の秋には「アメリカ楓(ふう)通りの紅葉」がTVや報道写真で紹介されていますが、それはそれは見事な風景・秋色を楽しませてくれるので、楽しみにしているところです。
金沢城・旧第六旅団司令部跡から二の丸に入るために設置された階段を登り切った辺りからこの通りを眺めると、少しずつ色付いた山々の様子と、紅く連なった「カエデ」を観ることが出来ました。
下界にありながら、先に紅葉した「楓」の色合いをみて、山々の木々たちも遅ればせながら、秋の薄化粧から仕上げへと動き始めたようですね。
※1「里の楓」: 文中の説明と先の投稿文参照
※2「旧第六旅団司令部跡」:明治31年建築の建物。その他は先の投稿記事参照
《2024.11.20撮影・11.22投稿》
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【 青木葉や いつも変わらじ 鉄の門 】(あおきばや いつもかわらじ てつのもん)
金沢城の本丸に攻め入るには、「鉄の門」を突破しなけれはなりません。
「寛永の大火(1631年)以降は、二の丸から本丸に入る正門となったこの門、鉄板を貼った扉だったことから、この名前が付けられたと言われ、「渡し櫓が乗った重厚な門で、本丸の防御に当たった」と、立て看板に記されています。
この門跡から本丸に至る付近の植物には「アオキ」のような種が多くみられ、葉は紅葉せず、四季を通じて常に緑色をしています。
時に赤い実がつくこともありますが、よくこの付近を散歩する自分自身ですら、その時を見付けたことがあるものの、本当に希です。
常に変わることなく、防御の姿勢を保っている「鉄の門」と「青木の葉」・・・どこか共通点があるように思えて「パチリ!」ました。
※1「青木葉」: 常緑木の葉、ここでは「アオキ」の葉の意
※2「鉄の門」: 投稿文中に記載のとおり
※3「渡し櫓」:「城郭の枡形に設けた櫓で、石垣の上に渡して下に門を設けた」門
《2024.11.23撮影・投稿》
【 本丸や 来る人もなき 秋暮るる 】(ほんまるや くるひともなき あきくるる)
夏でも涼しい金沢城本丸辺り、鬱蒼とした草木・茂み・・・ましてや秋も終わろうとする頃には、訪れる観光客の姿はなかなか見ることが出来ません。
ここに本丸があったことを示す立て看板には「古くは金沢御堂があった場所と伝え天正11年(1583年)賤ケ岳合戦の後、前田利家(公)が入城し同14年頃に天守を設けた・・・・(文簡略・省略)」と書かれている。
後に落雷などで天守などが焼失し、本丸にあった御殿は二の丸に移つり、御殿の再現に向けた調査が行われているほか、城内の「鶴の丸休憩館」に関連するVR放映を観ることが出来ます。
※1「本丸」: 「城の中心をなす区画=城主の居所」
※2「秋暮るる」: 秋も終わりに近い頃、晩秋の意
《2024.11.23撮影・11.24投稿》
【 実紫 辺り枯れても 光る君 】(みむらさき あたりかれても ひかるきみ)
よく晴れた空模様の兼六園周辺、午後2時を過ぎても、入場券発券機の前には長蛇の列、かわいい紫の実を見付けた順番待ちの観光客から質問されました。
「この小さくて紫色の実はなんですか? 」 「紫式部です」「えっ?あのムラサキシキブ・・・ですか?」「そうです!・・・他にミムラサキとか、カリカルバ・・・とかの別名があります」
NHKの大河ドラマ「光る君へ」のあの紫式部と同名の実が兼六園の「桂坂口」の緩やかな坂、左側上方向に実を付けています。
晩秋?でもあることからか、基本、葉は枯れていますが、ひときわ目立つ紫色の玉の光が、えも言われないほどに・・・彩色を誇っているようで・・・。
兼六園に来られた方々に毎年毎年微笑んでくれてます。実際に観てみてください。
※1「実紫」: 「紫式部=ミムラサキ」その他の呼び方も多々あり
※2「光る君」: NHKの大河ドラマの題名
※3「季語」: 秋(晩秋)
《2024.11.25撮影・投稿》
【 老木や 幾年月を 眺めども ほんに今年の 秋ぞ悲しき 】(ろうぼくや いくとしつきを ながめども ほんにことしの あきぞかなしき)
今年も後一週間で師走・・・一年はとてもとても早く過ぎてしまいます。
元旦に起きた「能登半島地震」・・被災した地域の復旧・復旧も、まだまだ厳しく辛い状況下にあります。
あと一か月で今年も終わる・・・そんな令和6年・・・悲しく苦しい一年でしたが、全国の皆さまから沢山の励ましと、お心、ご支援を沢山賜わりました。
この金沢城内にある桜の老木は、毎年同じ時期、秋に枯れ、しかし春になると見事なまでのピンク色の「桜の花」を咲かせ・魅せてくれます。
晩秋の今、その準備にさぞかし忙しいことでしょう・・・。
国内外に起こった悲しい出来事や自然災害・事件が起こるのは、これまでも世の常とするところ。
これを克服しながら、これまで人間が築いてきたこの世界、きっとこの老木は見つめ、嘆き悲しんできたことでしょう・・・しかし、(努力しがら)春を待てば、きっと良いことも訪れる・・・そんなことを、知らせを教えてくれているのかとも・・・。
今日は、「短歌風」にて失礼しました。
※「老木」金沢場内に植林の桜の木
《2024.11.25撮影・11.26投稿》
11月27日~11月29日までの間サーバー等メンテナンスのため新規投稿をお休みします。30日(土)再開予定です。
再度お訪ね頂ければ幸いです。_(_^_)_
【 門跡や 毘沙門さんの 薄紅葉 】(もんせきや びしゃもんさんの うすもみじ) 注:重複表示されますが、このままお進みくださいm(__)m
京都にあるお寺さんの「紅葉便り」があちこちから届いてきます。
ここ「毘沙門堂」のご本尊は、天台宗総本山・比叡山延暦寺のご本尊である「薬師如来」を彫られた際の余材をもとに刻まれたものとして伝えられていると、ものの本には記されています。
「門跡(もんぜき)」とは、皇族や公家などが出家して寺主を務める特別なお寺のことで、天台宗には五寺院(天台宗京都五箇室門跡)あるとか・・・。
訪れる前は、時折雨天となる空模様でしたが、今年は全国的に少し遅めとなる紅葉風景を堪能することが出来、ゆっくりとお参りさせていただくことが出来ました。
※1「門跡」: 文中記載文のとおり
※2「薄紅葉」: 季語としては「仲秋」ですが、 今年は特別遅れているようで、深い紅色とまではいかない色あい・・・として「晩秋」の季語としました
《2024.11.27撮影・11.30投稿》
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【 草庵や 銀杏紅葉が 彩を添え 】(そうあんや いちょうもみじが いろをそえ)
秋晴れの日、京都市左京区岡崎の「浄土宗大本山黒谷金戒光明寺=くろだにさん」の境内を通りました。
このお寺は、承安五年(1175年)法然上人が「草庵」を結び浄土宗最初の寺院となったと記されています。
少し冷たい風が吹いてはいるものの、止むと暖かく上着を外すほど・・・。
座す仏の右横には、「御影堂=法然上人の御影が奉納されている」があります。
「草庵」とは、中世、俗世をすてて京に住まい(茅葺や草壁の簡素な住まい)修行した者の住居・場所・・・。(後に茶の湯の「わびさび」に通ずるのかとも。)
今年の秋はかなり遅く、紅葉のスポットは例年になく色が鮮やかさに欠けるという声が聴かれますが、ゆっくり訪ねると、今まで見過ごしてきた小さな発見を知ることが出来るかも・・。
※1「草庵」: 「そうあん」文中に記載のとおり
※2「銀杏紅葉」: 「銀杏=いちょう」が「紅葉=(黄色く)色付く」ことの様
《2024.11.27撮影・12.01投稿》
【 千年の 秋夜が光 京の城 】(せんねんの しゅうやがひかり きょうのしろ)
京都二条城本丸御殿公開記念の「秋の豊穣祭」(ライトアップ)に出かけました。
御殿エリアに入城するには、別に「本丸御殿エリア当日券(千円)」が必要となりますが、静寂の夜の散策は一見の価値があります。
そもそも、「二条城」というと、家康公が西日本の諸大名の築城を命じ、二の丸部分が完成した時点で初入城し、この城から「大坂冬・夏の陣」に出陣・・・「大政奉還」の舞台となった城、現代には「世界遺産に登録」・・・この程度の知識しかなかったので、いろいろ調べてみるきっかけとなりました。
とてもとても静かな夜を照らす・・・まさに千年の都を想うひとときの散策でした。
※1「千年」: 京が都だったのは1075年間(794~1869年)
※2「秋夜」: 「しゅうや」=秋の夜長(季語)の意
※3「京の城」: 「元離宮二条城」
《2024.11.28撮影・12.02投稿》
【 西の京 教えの道に 光りみゆ 渡り廊下の 温かきかな 】(にしのきょう おしえのみちに ひかりみゆ わたりろうかの あたたかきかな)
晩秋にはいった京都、西の京にあるいくつかのお寺を散策すると、仏像や襖絵、御仏の教えの数々・・・。
次の伽藍に向かう「渡り廊下」に差し掛かると、本来この季節は、底冷えのする寒さであったり、木の床の冷たさであったりのイメージがあります。
ありがたい説法や、穏やかなお姿の仏像に手を合わすと、心が穏やかになりはじめ、身も心も・・・温かくなってくる不思議さを感じてきます。
団体客も多かった寺院でしたが、あわただしい現代にあって、短い時間ではありますが、自分を見つめることのできた午後でした。
※1「伽藍」: 「仏道を修する閑寂な場所と言う意味もあるが、ここでは「寺院の建造物」の意
※2「写真の場所」: 西山浄土宗総本山「光明寺」(長岡京市粟生西条之内)
※3 今回は「短歌風」にて失礼します
《2024.11.29撮影・12.03投稿》
【 渋き彩 いろは紅葉の 武家屋敷 】(しぶきあや いろはもみじの ぶけやしき)
金沢長町武家屋敷にある休憩館の門の中にある「休憩館」にまるでフランス人形のような容姿端麗の若い女性が訪れていて、しかも流暢な日本語で、「日本の秋と、城下町金澤の自然や街並み」が素晴らしいとお褒め頂きました。
訪日外国人の方々が、金沢を訪れて頂くことが多くなり、武士文化について少しでもご理解をしてほしい・・・との思いで、最近は「会話機」を駆使していろんなお国の方々と、コンタクトを試みたいとの思いで、お話をしています。
この場所は「観光ボランティアガイド”まいどさん”」が常駐する「長町武家屋敷休憩館」です。
とても「親切な対応・ご案内と、笑顔でのもてなし」をされている方達の姿勢に頭が下がります。
※1「いろは紅葉」: 「秋」の季語
※2「武家屋敷」: 先の投稿記事参照
《2024.12.04撮影・投稿》
【 雪吊や 匠の技に 光射し 】(ゆきつりや たくみのわざに ひかりさし)
週間天気予報では、小さな雪だるまのマークが現れていて、そろそろ初雪も近い頃?・・。
今年も残すところ3週間余りとなってきましたが、日中帯に太陽が出ると、まだ暖かくて、お出かけのアウター・インナーの選択に悩ましい?季節の到来です。
一般家庭のお庭に、見事な「雪吊り」が施されていて、素人技とは思えない巧みな技、お聞きすると「雪吊の仕掛け、縄のかけ方などは若い頃から父に教えてもらってきたので、今では親父に代わって吊ってみました・・・」とのこと。(お見事!!!)
造園業のプロにお任せすれば、一庭当たり相当の金額支出となりますが、「匠の技」家系に伝えていくことが出来れば、これぞまさしく「SDGs」そのもの・・・。
そんなこんなで、師走を迎えた「城下町・金沢」の風景を「パチリ!」ましたが、それにしても見事な「雪吊の技」、スポットライトを浴びたかの様に、輝いていました。
※1「雪吊り」: 「(兼六園の)雪吊り=リンゴ吊り」
※2「匠の技」: 「プロ級の(仕事)技」「優れた技」の意
※3「光射し」: 「冬の陽光」の意
《2024.12.05撮影・投稿》
【 冬の空 時に微笑む 虹が立ち 】(ふゆのそら ときにほほえむ にじがたち)
この時期、北陸の空は鉛色に変化し、雪が降るまでの間は荒れて寒い日が続きます。
北西の方向を見ると「石川県庁庁舎」付近に大きな虹が立ちました。
一部が県庁にスポットライトを浴びせるかのような、明るい光を放っているようにも見えてきました。
「能登半島地震」、追い打ちをかけるような「豪雨被害」・・・被災地はもちろんのこと、県・地方自治体職員の疲れも相当溜まってきていると察しますが、厳しい空模様の中に、未来に希望をつなぐお仕事だから「頑張れ!!」とエールを送ってくれているのかも知れませんね。
やがて1年を迎えることになる「能登半島地震」の復旧・復興を願います。
※1「冬の虹」: 虹は俳句の季語では「夏」となるが、「冬」の季語とするため「冬の虹」とした
※2「石川県庁」: 日本海側にある県庁庁舎で一番背が高い(平成14年11月に完成した:約100m)
《2024.12.06撮影・投稿》
【 新丸の 割場に響く 鰤起し 】(しんまるの わりばにひびく ぶりおこし)
毎日が傘マークの天気予報・・・「大きな雨のお知らせ」がスマホに通知音とともに流れてきます。
眩しい雷光一閃、地響きがする雷が鳴ると同時に、手元がビリビリっと電気が伝わってくる感じがして、さしていた傘を思わず放り投げました。
こんな感覚を経験したのは二度目、安全のためにも金属は手放した方が安全かと。
この日の新丸広場には、秋口の様な賑わいもなく、ひっそりとした様子でした。
ここ、金沢城公園内は、(小高い台地であることも影響があるのか?)昔から雷の通り道と耳にします。
この季節、鰤の獲れる頃の雷を「鰤起し」といって、北陸では漁に活気が・・・。
今日の金沢の最高気温が5度前後、雪がちらついてもおかしくないほどの冷えが感じられます。
手前にある桜の木々も、春を夢見て冬眠に入ったのかな~?
※1「新丸」: 「下台所=城内勤務の侍達の料理を作る場所」や「作事所=城内建物のメンテナンスの場」「割場=足軽や小者達に仕事を割当てる役所」などがあった場所
※2「鰤起し」: 文中の説明通り
《2024.12.07撮影・投稿》
【 旅人と 木の葉散らせて 初霰 】(たびびとと このはちらせて はつあられ)
雨天から晴れて陽が射したかと思ったら急に「霰=あられ」が激しく音を立てて降り注ぐ・・・・・。
北陸に住む者にとっては、けっして珍しい光景ではありませんが、太平洋側、特に暖かいエリアからの旅行者にとっては、とても驚かれた様子・・ 降り注ぐ際の音や強くて勢いのある比較的大粒の「あられ」が降ってきました。
瞬く間に路面が真っ白になり、まるで雪が降ったかのように、景色が変化しましたが、この後、直ぐに太陽が出てあっという間に溶けてしまいました・・・。
ここ「尾山神社」から「鼠多門」に向かう通路付近に、ここまでかろうじて残ってくれていた「紅葉」が、瞬く間に落とされてしまいました・・・。
季節は一歩ずつ、間違いなく冬に向って進んできましたね。
※1「旅人」: 観光客
※2「木の葉」: 散り際の「紅葉」の意
※3「初霰」: 冬の訪れの前ぶれとして、「霙=みぞれ」や「霰=あられ」が降る様
《2024.12.8撮影・投稿》
12月10日(火)から「その21」に移ります