〈今日の一枚と一句〉「その15(2024.09.05~09.18)」
【 台風を 避けてや宿に 夫婦傘 】(たいふうを さけてややどに めおとがさ)
台風10号は速度が遅く、旅行日程の調整にやきもきしていたところ、新幹線計画運休・運行情報を気にしながらも決行したスケジュール・・・イライラした気持ちの中、ようやくたどり着いた宿、目に入った和傘ニ張り、気持ちが落ち着く瞬間でした。 「和」は心を和ませてくれます。
※1「和傘」: 伝統工芸品としても歴史のある金沢の和傘が出迎えてくれました
※2「宿」: 駅前にある著明なホテルのロビーに展示されていて、特に海外からの旅行者に人気があり、写真スポットとなっています。
※3「台風」: 秋の季語
《2024.09.05撮影・投稿》
〘お願い〙
【2024.09.06投稿分から順にご覧いただくには、ここを「CLICK」してください】
【 もてなしや 金沢おどり 艶の舞 】(もてなしや かなざわおどり つやのまい)
今年の「金沢おどり」は、9月20日~23日まで「石川県立音楽堂(邦楽ホール)で催されます。(お茶席も設置される)
三茶屋街(ひがし、にし、主計町)の芸妓が総出演し、磨き抜かれた伝統芸・踊り等
好評の度が高まって、チケット購入・入手が年々難しくなっているとか。
写真は、JR金沢駅の新幹線乗り場にほど近い場所にある音楽堂ですが、運が良ければ、開催期間中に出入りする「芸妓・関係者」のお姿を拝見することが出来るかも知れませんね(^^;
※1「金沢おどり」: 江戸時代から受継がれ、仏教と深い繋がりのある踊りとか(秋の季語)
※2「艶の舞い」: あでやかな着物姿の金沢芸妓が舞う伝統芸能
《2024.09.06撮影・投稿》
【 筆柿と 呼ばれ目覚むか 初実り 】(ふでがきと よばれめざむか はつみのり)
市内観音町の一角(ひがし休憩館のとなり)に、みずみずしくも、実の青い柿がすくすくと育っていて、今年初めて実りました。
苗木から育てたとかではなく、コンクリートから芽が出て、何だろうかな~と思いつつも、既に8年が経った今年、大きく育ち、ついに実が成りました・・・と・・。
調べてみると「筆柿=ふで柿」であることが判りました。
本当に「桃栗三年柿八年」と聞いていたとおりに・・初めて実が付いたとのこと。
もう一か月後、どんな色と味になるのか・・・楽しみです~。
※1「筆柿」: 「筆」に似た形状から名付けられた柿、基本的に甘柿。ただ1割は渋い(タンニンが水溶となることで渋くなる)実があると言われる(秋の季語)
※2「初実り」: 果実が初めて実った・・の意
※3「その他」: コンクリートの隙間から芽が出て、育成を見守った柿の木・・来年以降もきっと大事に育てられることでしょう
《2024.09.07撮影・09.07投稿》
【 遠雷が 止みて虫の音 高枕 】(えんらいが やみてむしのね たかまくら)
秋とは言え、まだまだ残暑厳しい中、時折雷様が宴会をし始めて・・・・。
その宴会も終わり、静かになった時、秋の虫たちによる演奏会が始まります。
眠気を誘うクラシック音楽のように心地よいオーケストラ♪(^^♪
西茶屋資料館の二階に「高枕=たかまくら」の現物が展示されました。
従来の展示品に「高枕」が加わった・・・と言った方が良いのかも。
昔の髪型は、現代の枕のような形だと、折角結ったヘアースタイルが崩れてしまいますね・・・なので、このような形の「枕=高枕」が使用されたのでしょうかね。
映画やTVの時代物では観たことがありますが、実際に現物を見ると・・・本当に熟睡することが出来たのか???疑問に感じました。
※1「遠雷」: 遠くから聴こえてくる雷、遠くだと安心する距離の測り方もあるが、次の光と落雷予測は不可能です
※2「高枕」: 日本髪の髪型崩れ防止のため使用。「箱枕」「舟底枕」の呼び名もある
※3「虫の音」: 秋の虫(秋の季語)
《2024.09.07撮影・09.09投稿》
【 秋天や 今日はどこから 鼓門 】(あきてんや きょうはどこから つづみもん)
すっかり晴れて、秋の空はどこまでも高く、陰ひなたを吹く風が心地よき・・。
今日、日曜日のJR金沢駅は、相当混雑しています。
「もてなしドームと鼓門」には、観光で訪れた人、これから出掛ける人、専用駐車場付近では送迎の車で相当の混雑が観られました。
能楽で使われる「鼓」をイメージした「鼓門」をバックに記念撮影する旅人も多くいます。(正面からの撮影画像は沢山ありますが、今回は南側上部をshot!)
この駅は、世界で最も美しい14駅の一つに選出されており、人気のフォトスポットになっています。
※1「秋天」: 「秋空」「秋の空」などと同じ(秋の季語)
※2「JR金沢駅」: 「モダンな駅に連れてって」の番組(NHKEIプラスワン」で、1位東京駅、2位日立駅に次いで金沢駅が3位にランクインしました
《2024.09.08撮影・09.10投稿》
【 宵闇や 月は何処の 家路かな 】(よいやみや つきはいずこの いえじかな)
日の入りが日々早くなり、月が出るまでの時間がだんだん遅くなってきました。
尾山神社から「鼠多門」「橋」がライトアップされていて、昼の姿とはまた異なる景色が観られます。
勤務場所から家路を急ぐ人、外国人のペア、ジョギング中のリズミカルな小気味よい足音・・・。
いつもは車のライトで浮かび上がる「鼠多門橋」、ライトアップされた姿、静寂の瞬間が訪れたので、思わず「パチリ!」ました。
※1「金沢城公園等ライトアップ」: スケジュール化されているので確認された方がよいかと
※2「宵闇」: 月が出るまで暗く時間が長い(秋の季語)月が出るのを待つ心の意を含んで
《2024.09.07撮影・09.10投稿》
【 ゆく夏に 雅楽の似合う 景色かな 】(ゆくなつに ががくのにあう けしきかな)
30度を超える日が続く9月、しかし陽が傾き始める頃にはどこからともなく涼しさを感じる風が頬を撫ぜてゆきました。
金沢城三の丸の端、菱櫓付近から河北門を望む位置(内堀付近)に立つと、今の季節を感じるような涼しい風が吹いてきました。
すると、間もなく雅楽演奏に使用する楽器「笙」等が奏でる音??・・・が聴こえてきました。
近年は、秋を感じる間もなく、いきなり冬がやって来る・・・感じがします。
ゆく夏を惜しみながらも、四季の移り変わりを「肌と心」に感じたいものですね。
※1「ゆく夏」: 涼しさを求める中にも、この季節が変わることを惜しむの意がある(秋の季語)
※2「河北門」: 先に投稿の記述を参照
※3「雅楽」: 雅楽の楽器「笙」などが奏でる音色の意
《2024.09.10撮影・投稿》
【 仰のけば 小さき雲と 秋簾 】(あおのけば ちいさきくもと あきすだれ)
最近の空を眺めると夏から秋に変わる雲にも少しずつ変化が見られます。
真夏は入道雲のような大きな白い塊がニョキニョキと現れて、形の変化や流れが激しく感じますが・・・。
空模様を確かめるために仰向くと、厳しい夏の陽射しに耐えてきた「簾=すだれ」の節々に傷があり、また糸のほつれも目に留まりました。
取り外す際には水洗のあと乾かして、DIYで来年に備えようかと・・・。
時の移り変わりと「もったいない」の心を発見した今日のひと時・・・。
※1「仰のく」: 「あおむく」と同じ(上を向く、仰向きになる)
※2「小さき雲」: 一つの塊が「鱗雲」より大きい「羊雲」?かと
※3「秋簾」: 秋の陽射しに晒されている「すだれ」(秋の季語)
《2024.09.11撮影・09.11投稿》
【 白樫や 訪ねし人に 会釈かな 】(しらかしや たずねしひとに えしゃくかな)
どんぐりの実を付けるカシ類(ブナ科コナラ属)の呼び名は沢山あります。
長町公民館の南側に小さな緑地公園が隣接しており、界隈の案内掲示板が設置されている傍に植樹の「シラカシの木」にまだ青い「どんぐり」の実がたくさん育っています。
このエリアには「観光バス」などの駐車場があることから、訪れた訪日外国人の団体客も多く、観光スポットへの通り道沿いに見つけた珍しい果実?を指さしてカメラ撮影している場面によく遭遇します。
時折吹く風に揺られるたびに木の実が上下する様は、まるで「ようこそ ようこそ」と、会釈をしているかのようにも見えました。
幼き頃唄った「どんぐりころころ」のメロディーが・・・竹ひごと小さな小刀細工で、「やじろべえ」を作った・・・そんな遠い昔の思い出も浮かんできたので「パチリ!」ました。
※1「白樫」: 「シラカシ」「アラカシ」など「どんぐりの実」がなります
※2「掲示板」: 「長町武家屋敷」「老舗記念館」「前田土佐守家」「にし茶屋街」などを示す案内板と観光地図
《2024.09.12撮影・投稿》
【 今日もまた 佳きことありて 秋の暮れ 】(けふもまた よきことありて あきのくれ)
ここ最近の洛陽・夕焼けが綺麗・見事です。
秋は夏と異なり、空気が澄んでいるのか、夕日が沈む頃の空は見応えがあります。
今日の日が、特に悪いこともなく、かといって、特に佳きこともなく・・・。
これが一番良いことなのだと先人たちは説いてますが、他日に比してよい一日だったと実感できる出来事があった日を表現できる方法・技がもっと欲しいと感じます。
「秋の夕暮れ=秋の暮」や「洛陽」、「陽が落ちる」などから想像する景色は、どことなく寂しさが漂ってくる・・・そんなイメージがありますが、「良い出来事のあった日の黄昏時」を表現したい場合に、「秋」の季語を用いる場合の難しさを感じた次第です。
※1「秋の暮」: 「あきのくれ」秋の一日の夕暮れを表現したいが、「秋もそろそろ終わり」と言う意味もあって・・・悩ましいところですが、ここでは前者の意
※2「写真」: 珍しい夕暮れ写真をGet!(日章旗のような陽が扇状に拡散してます)また2枚目の写真は、これを眺める戦国時代?夕陽を仰ぎ見る殿様?のようにも見えてきました(^^;
《2024.09.13撮影・投稿》
【 苅田跡 雀乱舞や 空の青 】(かりたあと すずめらんぶや そらのあお)
金沢市郊外にある田畑では、しばらく続いている晴天の下、農作業も捗っている様子、稲刈り後の田の中に沢山の雀達が舞い降りて、忙しく動きまわり、しばらくするとまた飛び立ち、また次の田に移ります。
人が主食の米の収穫、鳥たちにとってもこの時期の落穂は、きっと美味しくて腹いっぱいに食する喜びを味わっているのかな・・・と。
空には「シロクマ」にも似た形の雲が現れ・・せわしく動いて、あっという間に形が変わりました・・・。
そんなこんなが展開される青空・・・・いつまでも眺めていたい、秋の昼下がりの風景一幕でした。
※1「苅田跡」: 「稲の刈り取りが済んだ田」のこと
※2「雀乱舞」: 集団で舞い降りたと思ったら、人の気配や音に敏感に反応して直ぐに飛び立ち、しばらくするとまた降りて・・・を繰り返します
※3「シロクマ」: 「ホッキョクグマ」の意
《2024.09.14撮影・投稿》
【 秋茜 付きつ離れず 芭蕉句碑 】(あきあかね つきつはなれず ばしょうくひ)
小松天満宮の境内に「芭蕉句」が掲げられています。
元禄二年(1689年)に「加賀路行脚」の途中、「あかあかと 日は難面(つれなく)も あきの風」という一句を残したとのこと。
この句を詠んだ時期は、まだ残暑が厳しい頃であった・・・と解説されています。
「もう秋だというのに夕陽が赤々と輝いて、そのことを知らぬかのような残暑」であるが、さすがに吹く風は秋になったと感じさせる・・そんな意味・解釈ですかね。
ちなみに「芭蕉句碑」は県内のあちこちに相当数設置されていて、本コーナーにも過日投稿しましたので、ご参考まで。
なお、本日は「kanazawa JAZZ STREET 2024」にスタッフとして参加することから過去に撮影の写真を使用して「一句」を投稿した次第です。
※1「加賀路行脚」: 元禄二年七月に金沢城下(高岡)に入り、小松、山中、大聖寺と進んだとの「曾良日記」に記されているようです。
※2「秋茜」: ここでは「赤とんぼ」(トンボ科アカネ属)のこと
※3「付きつ離れず」: 句碑の看板に停まったかと思うとすぐ離れ、ホーバリング?またすぐに停まり、じっと留まることがなかった様子の意
《2023.09月撮影(日不詳)・2024.09.15投稿》
【 秋雨や なんのこれしき 酔いにけり 】(あきさめや なんのこれしき よいにけり)
恒例の「金沢JAZZ STREET 2024」(9月13日~16日)開催されています。
ボランティアスタッフとして参加するのは既に10数年、もちろん今年も参加しました。
写真は「いしかわ四高記念公園」会場のライブ・ワンシーンですが、午後から不安定な空模様となり・・・夕方からは時折激しい雨に見舞われましたが、JAZZファンの熱気と演奏者の巧みなテクニックに恐れをなしたか、終演時にはすっかり晴れて・・・。
今日が最終日、フィナーレの瞬間まで雨を気にせず楽しめそうな天気予報です。
無料会場は10か所を超え、市内各所からJAZZが流れてきます。
午前11時から午後8時過ぎまでの間、楽しいひとときをお過ごしくださいね(^^♪
※1「秋雨」: 秋に降る雨で「秋雨前線」と呼び長雨となることも多い
※2「なんのこれしき」: これくらいまだまだ大丈夫:「何の=なんの」「此れ=これ」「しき=如き=位=程度」の意
※2「酔い」: 「キッチンカー」や「酒類」の販売もされている。単に「酒の酔い」のみならず、むしろ「JAZZ」による「酔い」の意
《2024.09.15撮影・09.06投稿》
【 鬼金ぞ 薬問屋に 茸飯 】(おにかなぞ くすりどんやに きのこめし)
曇り空の長町界隈、観光客のグループがランチを済ませ「金沢市老舗記念館」の前で、「茸ご飯が美味しくておかわりして食べたね~」と満面の笑顔で話していました。
そろそろ秋の味覚、美味しいものを食する機会、食べ物が増える季節になりました。
「茸飯」・・・茸の種類にもよりますが、総じて「糖の吸収を抑え(阻害)」たり、「血糖値の上昇を抑えたり下げたり」して脂肪を蓄積しにくくする働きがあるとか。
茸の中でも特に「マイタケ」は、ビタミンD群が多く含まれる(ナトリウムを排出して血圧を正常に保つカリウムがたくさん含まれている)とか。
この記念館は「薬種商=中屋薬舗」の建物で、藩政時代からの老舗がここに移築されたもので、館の中では当時の漢方薬を作る工程も展示されてます。
体に良い食事を済ませた上、薬問屋の前で、万が一、旅先で体調が不調になっても、怖いものなし(鬼に金棒)と・・・今日は川柳風にて失礼!
※1「鬼金ぞ」: 鬼に金棒=怖いものなしの意
※2「薬問屋」: 大棚の「中屋薬舗」=どんな症状にも対処できる薬がある??
※3「茸飯」: エノキ、マイタケ、しいたけ、ひらたけ・・・など多い
《2024.09.17撮影・投稿》
【 名月や 後先雲と 連れの旅 】(名月や あとさきくもと つれのたび)
昨晩は中秋の名月・・・・あいにく雲が多い空でしたが、時折魅せる(見せる)満月・・・とても綺麗でした。
時間が進み日付が変わる頃に、宇宙船(UFO)にも似た変な雲に覆われていた月が隙間から顔を覗かせ、この船のヘッドライト??の様で、すかさず「パチリ!」ました。
しばらく眺めていた夜空・・・・今宵の月はきっと「雲」を「連れ」として旅する日だったのかも?
※1「名月」: 中秋の名月(秋の季語)
※2「後先」: 雲の流れる様(雲から抜けたと思ったらすぐまた雲の中に・・の意)
※3「連れの旅」: 雲と連れ立っての旅
※スマホ撮影の限界?でしょうか・・・月のクレーターは映りませんでした(^^;
《2024.09.17撮影・09.18投稿》
9月19日(木)から「その16」に移ります