〈今日の一枚と一句〉「その12(2024.07.18~08.01)」
【 夏の宴 湯の香墨絵が おもてなし】(なつのえん ゆのかすみえが おもてなし)
親しくお付き合いさせて頂いているご夫婦と加賀温泉郷の宿に宿泊しました。
名湯の老舗宿、由緒ある宿の門を潜ると、温泉宿独特の湯の香り・・・するといきなり墨絵の屏風がお出迎え(^^;
きっと名のある方の作品と思いますが、庭を借景に堂々たる中に、墨絵がもたらす、和風色満タンの「おもてなし」を受けました。
この後のは、温泉と美味しい肴とお酒、美味しい料理に包まれた至福の時間を過ごすことが出来ました。
《2024.07.18撮影・投稿》
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【 古に 踊り盛りて 田楽が さびて哀れも 人の世こそと 】(いにしえに おどりさかりて でんがくが さびてあわれも ひとのよこそと)
中世に大流行し、突如姿を消した芸能「田楽=でんがく」、その主な理由は「能楽=猿楽」の流行だったとか・・。
これを今日的に再生すべく「学術研究者」や「音楽家」などが創り上げたジャンル(各地によって独特の作り方はあるものの、観るものに感動を与えるリズムと装束・・松明や笛太鼓に魅せられます。
立ち寄った和菓子屋さんのショーケースに飾られた「カラス天狗」・・・そろそろこの街に「山代大田楽」の季節がやって来る気配・・わくわく感が漂っていました。(数年前に有料観覧席から観て、今でもその感動が蘇ってきます。
※1「田楽が流行った頃」: 「平安時代~室町時代」にかけて最盛
※2「さびて哀れ」: 流行しなくなってさみしい様子
※3「人の世こそと」: 「人間の住む世界」に「浮き沈み」はよくあること
※4「R6開催日」: 2024.07.27~28 山代温泉服部神社前特設会場
※今日は「短歌風」にて失礼しました
《2024.07.18撮影・07.19投稿》
【 涼しさや 町家の庭に 打ち清水 】(すずしさや まちやのにわに うちしみず)
通りかかった道沿いの「金沢町家のお庭」、灯籠が置かれ、草木の配置と手入れが行き届いている様子がうかがえ、とても素敵な雰囲気を醸し出していました。
写真では見づらいですが、灯籠と二本の木の横にある四角い箱・・・ここからチロチロとかすかに聞こえる水の音が聞こえています。たぶん井戸水をくみ上げて・・・と勝手に想像した次第です。
これがもし井戸水ならば草木への散水はいらない??、ひょっとして西瓜が冷やされて・・・と想像が膨らみましたが、さてさて・・。
※1「金沢町家」: 4~5千軒現在も存在すると言われているが、毎年100軒程度解体されているとか
※2「打ち清水」: 「打ち水」の水源が「水道水」以外、「井戸水」「引き込み水」「湧き水」等
《2024.07.20撮影・投稿》
【 黒蟻の 避暑はパネルの お山かな 】(くろありの ひしょはぱねるの おやまかな)
猛暑日となった金沢、避暑に向っての海、山が賑わいを見せたことでしょう。
ここ、金沢城の「丑寅櫓跡」に設置されている「地図パネル」、兼六園を見下ろす位置にあります。
一匹の大きな「黒蟻」が写真パネルに掲出の「倉ヶ岳」から右方向のなだらかな稜線沿いに写る雪塊をしげしげと眺めているような・・・そんなしぐさに見て取れたので「パチリ!」ました
パネル絵を見ていると涼しそうですが、蟻の足??はきっと「暑くて辛抱たまらん」様子だったのかもね。
※1「倉ケ岳」: 「医王山」とともに金沢市民が登る山のひとつ 標高565.4m
※2「黒蟻」: 蜂の仲間、一方「白アリ」はゴキブリの仲間、「アリ」と言っても多種アリ(^^;
《2024.07.21撮影・投稿》
【 北陸路 敦賀の先は 土用波 】(ほくりくろ つるがのさきは どようなみ)
順調に見えた北陸新幹線建設計画、今年は福井県敦賀市までの延長・開通があって、福井県を訪れる観光客が増加、特に外国からのお客様の増え方が顕著だとか・・。
敦賀からのルートは「小浜ルート」と発表されてから久しく、徐々に建設計画が進んでいくものと思っていましたが、ここに来て、小浜ルートを見直して、「米原駅」を結ぶルートに変更する案が見直されている状況になっていると、報道されています。(今日の地元新聞朝刊掲載記事参照)
見直しの主な要因は、「京都市乗り入れ反対」、「建設関連経費の高騰」小浜ルートまでの建設費は、米原ルートに比して相当高くなるとのこと。
どちらにしても、今日の東海道新幹線の事故による運転見合わせ・・・などが発生した場合の迂回ルートとしての役割を担った幹線の早期完成を願うばかり・・・です。
今日の北陸新幹線「かがやき」号の目が「どっちか早く決めてくれよ!!」と、少し苛立っているように見えました。
《2024.07.22撮影・投稿》
【 姥百合や 肌も露わに 夕涼み 】(うばゆりや はだもあらわに ゆうすずみ)
鶴丸倉庫から丑寅櫓への昇り口、あちこちに「姥百合の花」が咲いています。
この花は、蕾の頃にはたくさんの葉が付いていますが、開花の頃にはなくなります。
夕方になって、少しは気温が下がった?頃に撮影、まるで林の中での夕涼み・・・のように観えました。
「すくっ」と立った先端に花がある・・・そんな感じです。
この暑さからか・?・・・と思ったのですが、開化の頃には「葉が枯れてくることが多い」ため、「葉(歯)のない「姥」に例えて名付けられたとも言われています。
能登半島地震の影響で、閉館中の「鶴の丸倉庫」を横目に、「丑寅櫓」や「本丸」方向に足を運ぶと、大小さまざまな生育状況の「花」達が今見頃で、優しく迎えてくれます。
※1「肌も露わに」: 今まで着けていた葉をすっかり落とした姿
※2「花のあと」: 長さ4~5cmほどの楕円形の果実を付ける
※3「後方の木」: (写真を拡大すると)「肌も露わに」に驚いている表情が見れます
《2024.07.23撮影・投稿》
【 土用東風 旅も季節も 分岐点 】(どようごち たびもきせつも ぶんきてん)
昨晩は久しぶりの夏雷がすごくて・・・梅雨の季節もそろそろ終わり、夏本番に向かう時かなと・・・気象状況が激しく変化するここ数日の金沢・・・。
毎年梅雨の終わりにみられますが、今年も・・・。
長町武家屋敷の一角に「道標」が建っています。
「右京(都)、左江戸」と刻まれています。
この季節、この道標を眺めたであろう旅人の心境・・・季節によっても違ったと想像するところですが、梅雨が明ける喜びの方が大きかったのかな・・と想像したところです。
※1「土用東風」: 夏の土用に吹く東風
※2「分岐点」: (ここでは)道標の意、左右又は上下に行先案内板として街道途中に設けられ石標
《2024.07.24撮影・投稿》
【 風死すも ほんに人無き 吉の門 】(かぜしすも ほんにひとなき きちのもん)
金沢城の搦手門(石川門)は、東南方向に設置の「一の門」から乱入する兵士を「枡形門」にて迎え撃つ姿、築城当時からの「構えの型」が今に残る「国の重要文化財」のひとつです。
昨日の気象状況とは異なり、夏らしい城内の様子でしたが、一瞬「風が止まる=風死す」ですが、感じた空気感の「無風」・・・。
この門は「攻守にかかる人命の損失」もなく、「幸せの門=吉の門」と言っても良いのでは??と思った次第です。
※1「搦手門」: 裏門にあたる石川門は、火災や経年劣化による再現や部分的修繕が施されたものの、今に当時の姿を残している
※2「風死す」: 季語は「夏」、盛夏の真昼間に風が止み、耐えがたい暑さになる様
※3「吉の門」: 戦いもなく無血だった歴史的事実、実は、「幸せをもたらす吉の門」だったのかも?
《2024.07.25撮影・投稿》
【 この街の 未来語るや 昼寝覚め 】(このまちの さきをかたるや ひるねさめ)
今日も暑い一日、遅めの昼食を採り、少しの間の昼寝を楽しむことに・・・。
まだ幼き頃の自分が主人公となっての夢、発展形の都市の将来を真剣に語っていたところでしたが、喉の
渇きと共に目が覚めた次第です・・・。
このオブジェは香林坊交差点付近の「アトリオ」前に設置されている「まちしるべ」(大森達郎氏作)と題された作品です。
金沢の街並みが彫刻のように表され、それを幼き男女が指さして何かを(熱く)語り合っています。
ちなみに、この「街並み」には「21世紀美術館」をまだ見ることはできません。
※1「昼寝覚め」: 昼寝から覚めること。(季語:夏)
※2「香林坊アトリオ」: 香林坊第二地区再開発ビルとして1986年に建設
※3「21世紀美術館」: 2004年に開館
《2024.07.26撮影・投稿》
【 バナバ花も 今宵花火の 誘いかな 】(ばなばかも こよいはなびの さそいかな)
市内散策の折り、青空に映える「バナバ」の木に濃いピンク色の花が綺麗に咲いていました。
この花の和名は「オオバナサルスベリ」で、原産国はフィリピンで、花名は「タガログ語」とか。
今宵は犀川に「花火大会」が開催されます。
毎時報ごとに打ち上る「ライ」という名の花火・・・否が応でも期待が高まってきます。
市内あちこちから浴衣姿のペア、家族連れが近くに集まり始めました。
暑かった日中の青空の下に咲いた「花」、「今夜は花火だぞ~」と誘っているようにも見えて、とても綺麗でした。
※1「バナバ」: 「サルスベリの木」に似ていますが、開化はこちらが少し遅め(季語:夏)
※2「今宵花火」: 「北國花火大会」(2024復興支援大会in金沢)
《2024.07.27撮影・投稿》
【 松の木の 樹肌震わす 蝉時雨 】(まつのきの きはだふるわす せみしぐれ)
今年は蝉の鳴き声が少ないな~?と思っていましたが、今が盛りになってきました。
暑さが少し早く訪れたせいか、はたまた人間の感覚的なずれなのかと・・・。
大きな声が聴こえてはいるものの、なかなか見つけることのできない「アブラゼミ」、それもそのはず、松の木の幹と完全に一体化している姿(忍者のよう?)・・・。さすがです!!
松の木本来の肌の一部と見間違えるほどに溶け込んだ姿、しかし、鳴き声だけはとても大きくて、びっくり!するほど(^^;
蝉は世に出てからの命は短いと聞きます。精一杯人生に一度きりの夏を楽しんで!!
※1「蝉時雨」: 蝉が一斉に鳴きたてる様子(声の大きさ)を時雨の音に例えた
※2「松の樹肌」: 古い角質部分は自然に剥がれるが、松の場合樹脂が多いく剝がれにくい
《2024.07.28撮影・投稿》
【 少子化や ハグロトンボが 見合いかな 】(しょうしかや はぐろとんぼが みあいかな)
地域によっては「絶滅危惧種」(特に東京都)に指定されている「羽黒トンボ(はぐろトンボ=おはぐろトンボ=蝶トンボ)」の求愛行動を見かけたので「パチリ!」ました。
写真左、緑色の金属光沢のある方がオス、絶滅の危機にあるトンボの一種ですが、この時期にはあちこちに求愛行動が観られます。
ここ浅野川付近で見付けた雌雄ですが、「お見合い」が成就することを願って・・・。
ちなみに「トンボ」が時折羽根を開閉する姿をみかけることがありますが、これは「求愛行動」や「縄張りの宣言行動」などと解されます。
※1「絶滅危惧種」: 絶滅の恐れがある「種」で、「国際自然保護連合(IUCN)等が「レッドリスト」として定める
※2「雌」: 「雄」より若干大きく、黒褐色
※3「特徴」: 蝶のようにヒラヒラと舞うが、ホーバリングのような動きはあまり見かけることは少ない
《2024.07.29撮影・投稿》
【 梅雨明けが 近いと夕陽 知らせける 】(つゆあけが ちかいとゆうひ しらせける)
明日で7月も終わり、そろそろ梅雨明けも近いのかと・・・。
今日は朝から雨、時に強く降る時間もあって、「強い雨」のお知らせが届いたりする不安定な天気模様でしたが、夕方に一瞬でしたが、陽が射して県庁の上層階の窓?に反射した瞬間を捉えたので「パチリ!」ました。
早く「梅雨明けの・・・」と、係る句を詠みたいと思う時候になりました。
各地を襲った豪雨被害、そろそろ終わりにしてほしいと願いつつ・・・。
※1「梅雨明け」: 近年の「梅雨明け」に関する発表は「梅雨が明けた模様」「梅雨が明けた模様」などと表現方法が変わりました。
※2「県庁の上層階」: おそらく展望ロビー(19F)の大窓に反射した夕陽?だと思います。
※3「撮影環境」: カメラ撮影関係アプリの使用や、画像加工処理をしていない原画像です。
《2024.07.30撮影・投稿》
【 花よりも 井戸の水かな 夏の蝶 】(はなよりも いどのみずかな なつのちょう)
暑い昼下がりの玉泉庵、立て札付近を蝶がふらふらと飛んでいました。
人間だけが暑いと感じるのか、表情や言葉を発しない生き物や草花もじっと暑さに耐えているのか・・・。
今の時期、金沢城公園内に咲いてる花は、そんなにも多くはないのに、「夏の蝶」・・頑張っていました。
立て札の解説によると、「この場所には江戸の前期から井戸があったことが絵図で確認できます・・・」と
あります。
蝶は、水が飲みたくて飛んでいたのかも知れないですね。
※1「夏の蝶」: 夏に飛ぶ蝶のことで季語は「夏」
※2「井戸」: この場所にあった井戸(江戸時代)を保存して、金沢城内あった井戸枠(戸室石)を設置した
《2024.07.31撮影・投稿》
【 梅雨明けて 初めて目にす 町暦み 】(つゆあけて はじめてめにす まちごよみ)
梅雨が明け、金沢駅に近い著名なホテルに、後日に開催するイベント会場の予約に行ってきました。
今まで幾度となく歩いている路の道端なのに、写真のような石柱(旧町名の由来が刻まれている)を今日初めて発見しました。よく読むと「旧玉井町=たまのいまち」とのこと。
加賀藩士の「玉井(頼母)氏(たまのい氏=禄高5千石=平士以上人持組)の屋敷と同家の下屋敷・家中町があったところで、明治の初め頃、この名がついた」と刻まれていました。
現在は、(昭和40年代に町名表示が変更され)「金沢市本町と昭和町2丁目」になっています。
町名一つにもそれぞれに歴史があって・・・。まだまだ知らないことが多くてワクワクしてます~(^^;
※1「梅雨明け」: 今日1日に「北陸地方の梅雨明け」(8月に入っ手からの梅雨明けは4年ぶり)4
※2「町暦み」: ここでは「町の歴史=町名の変遷」の意
《2024.08.01撮影・投稿》
8月2日(金)から「その13」に移ります