〈今日の一枚と一句〉「その10(2024.06.20~07.05)」

【 麦打ちや よくぞ残りて 十二年 】(むぎうちや よくぞのこりて じゅうにねん)
能登の復興支援、クラウドファンディングで送られてきた焼酎「虎の涙」(12年熟成セット)」・・・。
  能登半島地震により建物や製造機器設備が大きく損壊する中、耐えて割れずに残った貴重なお酒・・・少しでもご支援が出来ればと・・・。

 ラベルに書かれていました・・「虎の涙は誰も見たことはない」
<もう少し静かにねかせてあげたいと、しばらく封は切らずにおきます>
 がんばろう!能登!!

※1「麦打ち」: 刈取った麦を機械処理(穂から身を落とす作業:昔は手作業、梅雨入り前に行う作業=夏の季語)
※2「クラウドファンディング」: 「クラウド=群衆、ファンディング=資金調達」組み合わせ造語
※3「製造機器設備」: 瓶詰設備、井戸水や水道設備、貯蔵タンクなどに相当被害が出ている。(タンクが傾き瓶詰めが出来ない状況だと・・・)

《2024.06.20撮影・投稿》

 

 

【 曲者や 逆さ櫓に 水馬 】(くせものや さかさやぐらに みずすまし)
 金沢城五十間長屋と橋爪門続櫓がお堀に写り(逆さ絵)、その水面を沢山のミズスマシ(水馬)が忍者の「水蜘蛛の術」よろしく、スイスイと歩いていました。

 この巨大な建造物は平成13年(2001年)、約130年ぶりに復元されました。
 今日は夏至、一年の内最も昼の時間が長くなる日です。
「近畿、東海、関東甲信」で「梅雨入り」が発表されましたが、北陸は晴天に恵まれた一日となりました。

※1「曲者」: 盗賊や忍者などの怪しい者
※2「逆さ櫓」: 水面に写った逆さまの櫓(橋爪門続櫓=つづきやぐら)
※3「水馬」: 「水澄まし=みずすまし、アメンボウ=アメンボ」など

《2024.06.21撮影・投稿》


【 城下町 大店跡や 氷旗 】(じょうかまち おおだなあとや こほりばた)
 金沢市尾張町~橋場に至る路の両側は、沢山の大店が軒を連ねていて、今でもその名残・その様子がうかがえる建物が残っています。
 この「尾張町」界隈・お城下で商売が出来ること自体が高いステータスとなっていたようです。

 古地図にてらしても租ほどの違いはない上下二車線道路幅ですが、今とは違ってとても広い道路幅と感じた・・・のかな?

梅雨入り前にも関わらず30度超えた城下町いつの頃からか、「氷」の文字に入店客が後を絶たない「氷旗」がけだるそうに揺れていました。

 写真のバス停名は「尾張町」でした。(JR金沢駅までは7分~10分ほど)

(お詫び:前日はPCもしくはサーバー接続の不具合で投稿が今日となりました)


※1「大店」: 規模が大きな店舗
※2「氷旗」: 「かき氷」等、冷たいものを販売する店の旗
※3「尾張町」: 金沢城に前田利家公が入城に際し尾張から御用商人を呼び寄せ居住地となっていたことから?
※4「主要道」: 参勤交代にも通った北國街道へのアクセス道でもある

《2024.06.22撮影・06.23投稿》

【 百段の 石像仏や 栗花落かな 】(ももだんの せきぞうぶつや つゆりかな)
金沢にある「長谷山 観音院」(「金沢三十三観音」霊場の第二十五番札所)さんに至る「観音坂」の階段は百段を超えます。
 本堂の少し手前には「石像仏」が・・・多分名のある観音様なのでしょう・・。(右手を軽く頬に当てる「思惟手(しゆいしゅ)」のお姿)

梅雨の晴れ間、百段を超える急階段を登るのは、相当の脚力がないと息が上がります(^^;

「観音院四万六千日法要」等関連した内容は、過日投稿記事を参照願います。

※1「百段」: 百段以上ある急階段です。数え昇段するも、いつも数が異なる?
※2「栗花落」: 栗の花が落ちる頃が「梅雨」の時期であることから「つゆり(又は、ついり」と言う(季語:梅雨、初夏の頃)
※3「思惟手」: 「しゅいしゅ=深く考え込む様子、動作・手の動き」の様

《2024.06.24撮影・投稿》

【 軍配が 返りて花の 四葩かな】(ぐんぱいが かえりてはなの よひらかな)
 金沢城と兼六園を管理する事務所と城石垣を眺めることが出来る駐車場出入り口に咲いている紫陽花・・・これから白や青色や紫色の七変化が楽しめます。

 ちょうど真ん中の葉が裏返った「軍配」に見え、咲いた花々の勝負が今始まろうとしている・・・そんな風に感じ「パチリ!」ました。

 いよいよ梅雨の本番を迎える金沢城内に咲く草花たち、「いざ勝負」・・・みんな甲乙つけがたいほど綺麗に咲きました。
 日々の変化を楽しみながらのお散歩・・・今が特にお薦めです。

※1「軍配」: 相撲で制限時間がいっぱいになった時、行事が持つ「軍配」を裏返して構える行為(行事の胸元に引き寄せると軍配が裏側を向く=軍配を返す)
※2「四葩」:「四片=よひら⇚紫陽花=七変化や八仙花=手鞠花」などの別名が沢山あります

《2024.06.25撮影・投稿》
 

【 極楽と 名残す橋や 梅雨晴れ間 】(ごくらくと なのこすはしや つるはれま)
金沢城内に「金沢御堂」の時代に由来すると伝えられる「極楽橋」(二の丸と本丸附段の間の空堀に架かる)と言う名の橋があります。
 二の丸から三十間長屋に行くにはこのルートが最短で利用しやすい・・・立て看板には、江戸時代からこの名が付けられていたことが記されている。

 梅雨入りの晴れ間、青空が広がる時間帯は気分も良く、しばしの極楽と・・。

※1「極楽橋」: 設置場所や由来は上述のとおり
※2「梅雨晴れ間」: 梅雨時期の貴重な晴れ間、梅雨晴れ
※3「季語」: 梅雨のころ、初夏
※4「空堀」: 外敵や動物の侵入を防ぐ目的で造った堀、水のない堀
※5「その他」: この極楽橋を渡った先の階段にある「仕掛け」について別の機会に投稿する予定

《2024.06.26撮影・投稿》

【 寺町に 枯山水や 梅雨の蝶 】(てらまちに かれさんすいや つゆのちょう)
金沢市寺町に三大寺院群の中で最も規模の大きな「寺町寺院群」があります。
 由緒あるお寺が多く、門前掲示板と「静音の小径」という市の観光政策課発行のパンフレットを片手にお寺巡り・・・途中に水分補給と休憩を兼ねての一休み場所「鐘声園」があります。

 ここのお庭は「山門」と「枯山水」の出立で、とても落ち着ける場所(洗面施設常設)になっており、石の台に腰かけているとき、数匹の白い蝶が低く飛んでいて「一句」を・・・となった次第です。

※1「寺町寺院群」: 約70を超えるお寺が集まり、町名に相応しいエリアで観光客も多く見かけます。他には「小立野寺院群」「卯辰山寺院群」があります
※2「枯山水」: 京都の禅宗、禅寺を中心に作庭されたお庭のスタイル(植物や地形を利用して水の流れを表現する作庭園
※3「梅雨の蝶」: この時期の蝶は時折、晴れ間に低く飛んでる姿をみかけます

《2024.06.27撮影・投稿》


 

【 薪の丸 子連れ狸が 夏舘 】(まきのまる こづれたぬきが なつやかた)
金沢城の「石垣めぐり」のコースのひとつになっている「薪の丸」ですが、あまり訪れる方は少ないですが、「いもり掘り」から「三十間長屋」へのアクセスは最短となります。

 樹木の陰で、たとえ真夏日であっても、涼しく感じる小径です。
 「薪の丸」は、伝来の刀剣や書籍などをしまう「倉」があった場所で、この名の由来は、利常公の正室「珠姫」様が本丸に居住の頃にはこの場所に「薪」が保管してあった場所に因むとか・・・。

 自らは遭遇したことはないが、巷の話では「狸ファミリー」三世帯??が住みついているとか・・・。(住所は:金沢城三十間下る、マンション「薪の丸」かも??
本格的な梅雨の時期から「夏」を迎える準備もそろそろかなとも・・・。

※1「薪の丸」: 上述のとおり
※2「夏舘」: 室内(洞穴)を夏らしくしつらえ、涼しげな庭や池(玉泉庵)に臨む
※3「いもり掘り、三十間長屋」: 過日投稿記事を参照

《2024.065.26撮影・06.28投稿》
 
 

【 明易も 未だ守りて 加賀の民 】(あけやすも いまだまもりて かがのたみ)
  写真は金沢で一番高いビル(ホテル日航金沢)は、130.5m(30階)です。
 藩政時代~廃藩置県までは、金沢城近くにある卯辰山(141m)には植林や入山禁止の御達しがありました。(城防御の見地から等)

 令和になって未だ、この卯辰山の高さを超えるビルは市内に存在しません。
 この時代まで加賀のお殿様の言いつけを金沢(加賀)の市民は守ってきたのかと・・・。

 本日「金沢観光ボランティアの会”まいどさん”」三十周年記念式典がこのビル内の「アートホール」で挙行される旨「催し物掲示板」に掲出されていました。

 ちなみに北陸三県、富山県と福井県の高いビルは、富山県:「タワー111(インテックビル)」111m、福井県:「コートヤード・バイ・マリオット」119.3mとなります。

 駅前の開発計画(旧都ホテル跡地)が計画途中と伝わっていますが、果たしてどうなる(卯辰山を超える高層ビル誕生か??)のかと・・・楽しみです。

※1「明易も」: 短い夜と同じことの例え、あっという間に夜明けを迎える様(お達しも時と共に忘れ去られるものだが・・・の意)
※2「季語」: 初夏(夜が短い季節)
※3「卯辰山」: 過日投稿の記事を参照願います
※4「まいどさん」: 同上
※5「写真」: 「ホテル日航」撮影アングルによっては前田利家公の兜にも似て

《2024.06.29撮影・投稿》

 
 

【 梅雨の雷 慌てて出格子 町家かな 】(つゆのらい あわててでごし まちやかな)
 今日の金沢は、梅雨本来の雨の一日となりました。
 夕方に一瞬の稲光があった後、激しい風と降雨、傘も飛ばされそうな勢いにたまげて、直ぐ傍の軒先(尾張町)をお借りしました。

 軒先(避難した)が金沢の典型的な町家・・・出格子には見事な彫りが施されていて・・思わず「パチリ!」ました。

※1「梅雨の雷」: 「梅雨雷=つゆかみなり」とも言う。本来雷が鳴ると梅雨が明けると言われているが、まだまだこれからが梅雨の本番(^^;
※2「出格子」: 住居用の家屋に設けられた格子、雨が防げる出窓的役割がある
※3「町家」: 本来、金沢には保全の対象とすべき家屋が数多くあるが、建屋は年々減少している現状にある。今後更に具体的効果のある対策に期待するところ・・。なお、写真のような「彫」が施された格子はとても珍しい

《2024.06.30撮影・投稿》

 

【 湯の宿に 硯の中や 文の月 】(ゆのやどに すずりのなかや ふみのつき)
 写真の駅は、北陸新幹線「芦原温泉駅」です。以前はJRの北陸本線を利用して関西方面から北陸エリアに在する温泉宿を訪れるお客様も多く、駅名に「○○温泉駅」と、温泉地名を付けた駅が複数あり、その一つです・・・。
 当駅は、福井県では福井市に次ぐ(二番目)人口を有する自治体「坂井市」にあります。

 当駅を乗降利用する知人と会う用向きが出来きて、少し早い時間に駐車場に到着したので、駅前散策を・・・。

 「仲仕組創立記念之碑」なる掲出板と石碑があったので「パチリ!」ました。
 「仲仕(なかし)とは荷物の運搬に携わる職種の総称・・・」と書かれてます。

 明治30年(1897年)に北陸本線が小松まで開業され、陸路による物流(それまでは水運)にシフトされたことの経緯と様子がよくわかりました。

  明治時代の文豪も利用した芦原温泉の宿、月が出た夜・・・きっとこんな風景もあったのだろうな~と・・・思い描いた一句です。

※1「硯の中」: 墨を擦るために硯に水を注いたその中
※2「文の月」: 「文月=7月=文の月=郵便番号の日(7月1日)」
※3「仲仕」: きつい肉体労働の毎日、家族に宛てた手紙・・・どんな内容だったのでしょうか・・
※4「丸岡町」: 国宝の丸岡城、日本一短い手紙「一筆啓上・・・」の館は市町村合併により「坂井市」となりました

《2024.07.01撮影・投稿》


 
 
 

【 花ゆれて 越のしらやま 半夏生 】(はなゆれて こしのしらやま はんげしょう)
 今日は、「白山高山植物園(標高857mの西山山頂近く)」へ、このエリアならではの植物を観に出かけました。
 「ニッコウキスゲ」(写真①)「キョウカノコ」(写真②)「タカネナデシコ」(写真省略)・・・たくさんの高山植物が今を盛りと咲いてました。

 夏至から数えて11日目(7/2)頃は「半夏生」・・・。白山(越のしらやま)の雄姿は残念ながら拝むことはできませんでしたが、澄んだ空気と可愛い花たちに心身ともに癒され、貴重な時間を過ごすことが出来ました。

※1「花ゆれて」: 谷からの風が少し強め、ようこそ~!!と迎えてくれていた様で草花達に感謝~感謝!
※2「越のしらやま」: 古の時代の「白山」、都人の呼び名。ほかに「越のしらね」とも・・・
※3「半夏生」: 上記説明の他、古くから田植えの苗が多く枝分かれして稲穂が沢山実るように~との思いで、この日に「蛸=タコ」を食べる習慣が、近畿地方に伝わってます。なおここ金沢では、「氷室饅頭」を食する日(7月1日)の前後には食品スーパーに「蛸」の陳列が・・・最近多くなった・・・かも~~~(^^;l


《2024.07.02撮影・投稿》

【 塗巧み 鉄砲狭間や 蟻の道 】(ぬりたくみ てっぽうさまや ありのみち)
 金沢城の城壁には、外からはうかがい知ることのできない仕掛け、「隠し狭間(隠し又は隠れさま)」があります。
 大方の城には、丸や三角のような形をした弓・鉄砲が放たれる場所、攻める側からも見える造りになっているが・・・。どこから見てもそのような箇所が見当たらなけれは、より不安に駆られるもの。

 「鶴の丸休憩館」のすぐ傍に、金沢城の「塀の構造」を解かり易く解説・展示しているところがあります。
 「壁小舞竹」で形を作り「荒壁」を塗り「中塗壁」で整い、仕上げは「海鼠壁」・・・いざ戦いになると、その瓦の一部を内側から棒で突っつくと、鉄砲が撃てるようになる造りで、観光客の多くはその仕掛けに感心し、驚ろ過れます・・・。

 猛暑日となった今日の金沢、よく見ると、この壁の間を動き回る大きな兵隊蟻?が忙しそうでした>

※1「塗巧み」: 上記のように、壁小舞竹をベースに数工程の「塗固め」がある。
※2「鉄砲狭間」: 鉄砲を撃つためのスペース
※3「蟻の道」: 蟻は300種を超える。「働き蟻」は全てメスで、寿命は雄雌ともに1年~3年とか・・。季語:夏(一番盛んに働く時期)とした

《2024.07.03撮影・投稿》

 

【 秋聲や 香魚夢路も おんな川 】(しゅうせいや こうぎょゆめじも おんながわ)
金沢観光スポット「ひがし茶屋街」の「浅野川」ひとつ上流に「梅の橋」が架かります。そのすぐ傍に「徳田秋聲記念館」(金沢三文豪の一人)があります。
 代表作には「黴(かび)」「縮図」「あらくれ」などがあります。
 三文豪「泉鏡花」と同じ小学校に通い、「尾崎紅葉」師と仰ぐ・・・もう一人「室生犀星」、三人の文豪の共通点は「俳句」だと物の本に書かれているが・・

 経歴紹介の中には「山田順子(ゆきこ)=小説家」なる愛人の名が出てくるが、発表作の中にも「順子もの」として何度も登場する女性だ・・・。
 なお、秋声の妻が急死した後から急進し、正式結婚する直前に破局を迎える。
 ただし、この女性は「竹久夢二」とも恋仲になったとの記述も多く見受ける。

※1「香魚」: 「こうぎょ=鮎=アユ」(若鮎は春の季語でここでは夏の季語)
※2「夢路」: 夢を見るを、「道を行く」に例えた。また「夢二」に掛けた言葉
※3「おんな川」: 「浅野川」の別名、「犀川」は「おとこ川」と
 
《2024.07.04撮影・投稿》

【 紫に 咲いて誇らし 桔梗かな 】(むらさきに さいてほこらし ききょうかな)
 金沢城の石川門裏に毎年咲く「桔梗」、紫色が風に揺れて綺麗です。
 「紫」は、かって一番高貴な色とされ、天皇陛下や高僧のみに認められた色だったとか。
 今でも「紫綬褒章」のリボン?や高僧が着する衣装の多くは「紫色」です。
今日は晴れて気温も高かった城内、吹く風は穏やかながらも、時折強めに吹いて、花たちも初夏を楽しんでいるようでした。

※1「桔梗」:日当たりのいい草原に観られる花、国内の生態系に影響する?生育場所が激減したことから、「絶滅危惧種」となっているとか。
※2「桔梗紋」: 桔梗を家紋に用いた武将も多く、「明智光秀(影桔梗)」「加藤清正」「土岐氏」など
※3「花言葉」: 「清楚」「誠実」「気品」など、「季語」は夏となる

《2024.07.05撮影・投稿》

7月6日(土)から「その11」に移ります